第2回:【深掘り】現状把握

――財務データから「真の原因」を突き止める診断術

なぜ現状把握が必要なのか。それは、**「戦略・行動計画に具体的な根拠を織り込むため」に他なりません。 公認会計士として断言できるのは、「財務諸表に表れない経営問題はない」**ということです。

1. 財務分析による「痛み(Where)」の特定

まずは、どこに痛みがあるのかを特定します。 例えば、売上が減少している場合、単に「景気が悪い」で片付けず、具体的に「どの事業か」「どの顧客か」「どの品目か」を適切な切り口で分析します。

これは費用面も同様です。製造原価の上昇なら、材料費そのものの高騰なのか、歩留まり(仕損)の悪化なのか。あるいは労働生産性の低下による人件費の上昇なのか。 損益計算書(PL)だけでなく、貸借対照表(BS)の観点から運転資本や資金繰りまで見ることで、収益性だけでなく「安全性」や「効率性」の痛みまで浮き彫りにします。

2. 原因(Why)の究明

痛みの箇所(Where)がわかったら、次は「なぜそれが起きているのか」を考えます。これは金融機関が言う「窮境原因」の把握と同じプロセスです。

ここで大切なのは、闇雲に考えるのではなく、経験から**「あたり」**をつけることです。

  • 社内要因: プロセスの不備か、人の問題か。
  • 社外要因: 市場の変化か、競合の動きか。さらに「なぜそれに対応できていないのか」まで深掘りします。 社内の多くの意見を出し合い、仮説を検証していくことが重要です。

3. 解決策(How)への検討

Where(どこが)とWhy(なぜ)が明確になれば、自ずとHow(どうするか)が見えてきます。 現状把握で浮き彫りになった課題への対応策を、先述した「行動計画」に具体的に落とし込んでいく。この一連の流れこそが、血の通った経営計画を作る唯一の道です。

今日は「現状分析」の本質についてお話ししました。

次回は顧客の定義と強みの発見についてお話ししようと思います。

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